米アラスカ航空(Alaska Airlines)は、2026年に向けてカリフォルニア路線を大幅に見直し、ロサンゼルス(LAX)とサンフランシスコ(SFO)を中心に12路線を廃止することを発表しました。路線整理は「機材導入ペースの遅れ」と「ネットワーク最適化」を理由としており、同社が掲げる経営再構築の一環です。
サンフランシスコ発着で5路線が終了 元ヴァージン拠点を縮小へ
アラスカ航空はサンフランシスコ発着でボストン、オースティン、バーバンク、オーランド、ニューアーク行きの5路線を2026年上半期に順次終了します。これにより、同空港での座席供給量は2026年7月時点で前年同期比約24%減となる見込みです。
サンフランシスコはかつてヴァージン・アメリカの本拠地であり、アラスカ航空が統合後も重要拠点として維持してきた空港です。しかし、今回の削減はハワイアン航空との経営統合を控えた再編時期と重なっており、「他社が強い拠点(ユナイテッド航空のハブ)」からリソースを引き上げる動きとみられます。
ロサンゼルスからも減便 バーバンクやオンタリオが代替に
ロサンゼルスでは、2026年2月をもってリノ(RNO)線とラスベガス(LAS)線を終了。また、サンノゼ―ロサンゼルス線も2026年1月に廃止される予定です。
LAXはアラスカ航空にとっても主要拠点のひとつですが、アメリカン航空やユナイテッド航空など大手が勢力を持つ高コスト空港。アラスカ航空は、近隣のバーバンク(BUR)やオンタリオ(ONT)など、コストの低い空港への乗り換え需要を見込む構えです。
他のカリフォルニア路線も整理 ただし全ルートに他社便が存在
このほか、サンノゼ発着ではメキシコ路線(ロスカボス、グアダラハラ)が2026年5月に終了。サンディエゴ―アトランタ線、アンカレッジ―デトロイト線も運航終了が決定しています。
一方で、廃止される全12路線についてはすでに他社が代替運航しているため、路線空白は発生しません。アラスカ航空は機材を再配分し、他市場で13の新路線を開設予定としています。
狙いは「高コスト空港からの撤退」か
今回の一連の動きは、アラスカ航空が「ネットワーク最適化」という名のもとに、収益率の低い高コスト空港を縮小し、機材効率を高めようとする意図が見えます。サンフランシスコ、ロサンゼルスの両空港はともに大手航空会社の拠点であり、発着料や地上サービス費用も高いことで知られています。
同社広報は「LAXとSFOは依然として重要市場だが、2026年は新機材の導入が遅れるため、運航をより厳選する必要がある」とコメント。つまり、成長を止めるのではなく、“守るための撤退”という位置づけです。
まとめ:アラスカ航空の次の一手に注目
アラスカ航空は、ヴァージン・アメリカの統合以降、カリフォルニア市場のプレゼンス拡大を目指してきました。しかし今回の大幅削減は、ハブ競争が激しい湾岸地域からの一時撤退を意味します。
一方で同社は、西海岸の中堅空港やハワイ・アラスカ・メキシコ方面でのネットワーク拡充を進めており、2026年は再構築の節目となりそうです。路線再編が落ち着く来夏以降、新たな就航地や提携拡大にも注目です。

