アメリカの空港セキュリティに大きな変革が訪れるかもしれません。先日、共和党のマイク・リー上院議員(ユタ州)とトミー・タバービル上院議員(アラバマ州)が、運輸保安庁(TSA)を廃止する法案を提出しました。この「TSA廃止法案」は、空港セキュリティを民間企業に移管するという大胆な提案です。
TSA廃止法案の内容
この法案が可決されれば、TSAは3年かけて段階的に廃止され、代わりに民間のセキュリティ会社が連邦政府の監督のもとでその役割を担うことになります。具体的には、連邦航空局(FAA)内に新たに「航空セキュリティ監督局」が設立され、民間企業を監督する体制が整えられる予定です。
法案成立後90日以内に、国土安全保障省は議会に再編計画を提出することが求められています。この計画には、新しい監督機関の立ち上げ、セキュリティ業務の民間企業への委託、TSAの航空以外の役割を他部門へ移管することなどが含まれるとされています。
議員たちの主張
リー上院議員は「TSAはアメリカ国民のプライバシーと個人的空間に侵入しただけでなく、武器や爆発物を見つけるテストにも繰り返し失敗している」と厳しく批判しています。
タバービル上院議員もこれに同調し、TSAを「アメリカ人の自由を妨げる官僚的な混乱」と表現。納税者の資金の誤用、非効率性、そしてイライラさせるセキュリティ体験が主な問題だと指摘しています。
欧米の空港セキュリティ事情
法案の説明資料によると、欧州の空港の80%以上ではすでにセキュリティスクリーニングが民営化されており、アメリカ国内でもサンフランシスコ国際空港などいくつかの空港ではTSAの「スクリーニング・パートナーシップ・プログラム」の下で民間セキュリティ業者を利用しています。
フロリダ州のオーランド・サンフォード空港やミズーリ州のカンザスシティ空港も、このプログラムを活用している空港として挙げられています。
TSAの問題点
両上院議員は、2015年に行われた調査で、模擬脅威の95%がTSAの検出をすり抜けたという事実も指摘しています。
この法案提出は、国土安全保障省が5万人以上の運輸保安職員の団体交渉権を終了させてからわずか数週間後のことです。これらの職員を代表するアメリカ政府職員連合は現在、同省を提訴しています。
アメリカの空港セキュリティがどのように変わっていくのか、今後の動向に注目が集まります。