ヨーロッパ系LCCとして注目されていた「ウィズエア・アブダビ」が、2025年9月1日をもって事業を終了することを発表しました。2021年の運航開始からわずか4年半での撤退となり、航空業界では大きな話題を呼んでいます。
事業終了の背景
ウィズエア・アブダビの撤退理由は、一つではありません。主な要因としては、以下のようなものが挙げられています。
- 中東地域特有の地政学的リスク
空域の閉鎖や運航混乱など、情勢不安や規制強化によって事業運営が不安定となりました。
- 猛暑によるエンジン効率の悪化
中東の高温環境下ではエンジンの信頼性が大きく低下し、結果として燃料コストの増加に直面しました。
- 新規路線開拓の難しさ
希望する路線の許認可が下りにくく、市場への本格展開が難航しました。
- 超格安モデルの限界
急激なコスト上昇と需要の不安定化を背景に、ビジネスモデルの維持が困難となったのです。
なお、同社は今後ヨーロッパ地域を中心に、中核市場への注力方針を明言しています。アブダビ発着便の予約客には返金や代替便案内が行われる予定です。
A321XLR型機の発注縮小
今回の事業終了を受け、ウィズエア・グループはエアバスA321XLR型機の発注数を減らす方向でメーカーと交渉中です。もともと47機を発注していましたが、その多くをアブダビ長距離路線で活用する計画だったため、撤退に伴い必要数が減少した形です。今後は一部機材を従来型A321へと切り替える見通しとなっています。
他の中東LCCの選択肢
ウィズエア・アブダビ撤退で「中東LCC事情はどうなる?」と気になる人も多いはず。中東には以下のようなLCC(格安航空会社)が就航しています。
- エア・アラビア(Air Arabia)/UAE・シャルジャ拠点
中東・北アフリカ・南アジアに幅広く路線展開し、現地では有力なLCCです。直近では新たな合弁LCCも設立しており、ネットワーク拡大に意欲的!
- フライドバイ(flydubai)/UAE・ドバイ拠点
ドバイ発着の幅広いネットワークと低価格で人気。日本からは直行LCC便がないため、乗り継ぎ利用が主流です。
- フライナス(flynas)/サウジアラビア拠点
サウジ国内のみならず、中東・アジア方面にも展開が進んでいます。
- ジャジーラ航空(Jazeera Airways)/クウェート拠点
クウェート発のLCCとして中東・アジア方面に複数路線を運航中。
また、タイやマレーシアなどアジアLCCもA321XLRなどの新型機導入でさらなる路線拡大を計画しており、今後はアジア~中東間のLCCネットワークがさらに充実していきそうです。
今回のウィズエア・アブダビ撤退は残念ですが、中東・アジア圏では他にも様々なLCCのチョイスがあるので、フレキシブルに活用してみてください。賢くチケットを探せば、コスパ良い旅がまだまだ楽しめそうですよ。