日本が誇る温水洗浄便座(ウォシュレット)は、日本国内では80%以上の家庭に普及していますが、海外ではほとんど使われていません。その理由は、いくつかの興味深い要因が絡み合っているのです。
水質の壁
最大の障壁は水質の問題です。日本の水は「軟水」で不純物が少ないのに対し、ヨーロッパや東南アジアの多くの地域は「硬水」地域です。硬水には石灰分が多く含まれており、これがウォシュレットのポンプやノズルに深刻なダメージを与えます。具体的には、石灰分が機器内部で凝固し、2〜3年で故障してしまう可能性が高いのです。
インフラと文化の違い
電源の問題
多くの海外のトイレには電源がありません。特に西欧諸国では、トイレにコンセントを設置することさえ法律で禁止されている国もあります[1]。日本のように当たり前のようにトイレに電源があるわけではないのです。
衛生環境の違い
海外では、日本のような徹底した衛生管理が難しい地域も多くあります。不衛生なトイレ環境では、電気を使う精密機器を設置するリスクが高いのです。
経済的な障壁
高級モデルの価格も普及を妨げる要因です。TOTOの最高級モデル「NEOREST NX」は、アメリカでなんと約177万円もする高額商品。普通の消費者が気軽に購入できる価格帯ではありません。
文化的な違い
興味深いことに、清潔さに対する価値観が国によって大きく異なります。日本人は衛生と清潔さを非常に重視しますが、他の国々ではそこまでこだわらない文化もあるのです。
追加情報:トイレットペーパーの品質
大阪府の吉村知事が指摘するように、海外のトイレットペーパーの品質は日本のものと比べてかなり劣ります。海外製のトイレットペーパーは厚すぎて詰まりやすく、吸水性も日本製とは大きく異なります。
将来の可能性
ただし、完全に諦める必要はありません。中国や韓国では徐々に普及し始めており、今後グローバル化とともに日本のトイレ文化も広がっていく可能性があります。
日本のウォシュレット文化は、まだまだ世界に広がる余地があるのかもしれません。